dBアーカイブ・プロジェクトvol.2 黒沢美香&大阪/神戸ダンサーズ「ジャズズ・ダンス」アーカイブ展示
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- このタイトルはジャズダンスのjazzではない。
- jazz音楽の仕組みを尊敬してのタイトルである。
- ダンスでjazzを泳ぐ。
- zの数は上演の度に増えていく。
- (1992年初演)
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- dB(大阪〜神戸)を第二のホームグラウンドとし、生涯にわたって振付家・ダンサーとして“ダンスへの問い”を革新し続けた黒沢美香。代表作の一つ『ジャズズ・ダンス』は、関西のダンサー達を奮い立たせ深くて強度のある刺激を与えました。『ジャズズ・ダンス』には、ダンサーが自らが演出しないと成立しない振付、ソロにもなり群舞にもなる振付といった様々な仕掛けが巧妙に託されています。
- 今回のアーカイブ展に向けて、2018年6月・7月・8月に公開ミーティングを行いながら「ダンスをどのようにアーカイブするのか」企画メンバーと共に試行してきました。このプロセスは、“動いた先から消失してしまうダンスというものをいかにアーカイブできるのか”ということの思考の軌跡でもあり、『ジャズズ・ダンス』の振付を分析し検証する過程でもありました。
- まだまだアーカイブに向けた過程の渦中ではありますが、<実演><展示><映像上映>を通して、黒沢美香&大阪/神戸ダンサーズ『ジャズズ・ダンス』アーカイブの“現在形”をここに開きます。とくに、振付家が不在のなか『ジャズズ・ダンス』の経験者が、〈現場(リハーサルや上演)〉を通して、振付を伝達・継承していくことに取り組む<実演>プログラムは、次世代に伝えていくことへの挑戦です。これらの過程によって、明文化しにくい「振付」がいかにアーカイブされていくのか、そして振付に託されているものが時代を越えて共有できる事へとなるのか、その可能性を探ります。皆さまの目撃をお待ちしております。(横堀ふみ)
【プログラム内容】
- <展示>
- 黒沢美香&神戸ダンサーズ『ジャズズ・ダンス』(2015年)を中心に、公演やリハーサル・プロセスにまつわる資料を展示します。また、1990年より『ジャズズ・ダンス』に関わったダンサーや関係者による証言集や、今回のアーカイブ展の軌跡を描いたハンドアウトも制作予定です。
- (他展示資料=黒沢美香&大阪ダンサーズ『ジャズズ・ダンス』(2007年)、DANCE BOX 20周年企画 「The PARTY -Can’t Stop the Dance-」における『ジャズズ・ダンス』(2016))
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- <映像上映>
- 黒沢美香&大阪/神戸ダンサーズ「ジャズズ・ダンス」の記録映像、及び、黒沢美香が講師を務め『ジャズズ・ダンス』を取り上げた「国内ダンス留学@神戸(2013年)」でのワークショップの様子がおさめられた濱口竜介監督の『Dance for Nothing』を上映します。
- <実演>
- “振付”や“作品”を、それを経験したダンサー達が伝えていくことが可能なのでしょうか。『ジャズズ・ダンス』を経験したダンサー達が、『ジャズズ・ダンス』を分析し検証し、新たなダンサーに伝えていく試みの現在形をここに開きます。『ジャズズ・ダンス』は、照明や衣装も振付の一つですが、今回は振付の中でも”動きの生成”にフォーカスをあてて行うため、<素踊り>での実演となります。
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〈映像上映・作品クレジット〉
黒沢美香&大阪ダンサーズ『jazzzzzzz-dance』
- 構成・演出・振付:黒沢美香
- 音楽:太田恵資(バイオリニスト、作編曲家)
- 出演:あおいさちこ、文、戎敦子、きたまり、北村成美、スウェイン佳子、隅地茉歩、中山登美子、福岡まな実、三林かおる、森本あやこ、山上恵理
- 主催・企画制作:NPO法人DANCE BOX
『Dance for Nothing』 (2013/27分/HD[ブルーレイ上映])
- 製作:神戸ドキュメンタリー映画祭実行委員会
- 監督:濱口竜介
- 撮影:北川喜雄、野原位、濱口竜介
>第5回神戸ドキュメンタリー映画祭(2013年10月)のオープニング作品として、神戸在住の映画監督・濱口竜介が撮り下ろした作品。ダンスという身体表現を映像化することは可能か、という問いとともに作られた本作は、ダンサーだけではなく、街、行き交う人々、そこに吹く風など、すべてのものがダンスするさまを写し出す。
黒沢美香&神戸ダンサーズ『jazzzzzzzzzzzz-dance』
- 構成・演出・振付:黒沢美香
- 音楽:オオイヌノフグリ(ジェルノ[Dr.]、平國臣[Ba.])
- 出演:東沙綾、文、伊藤愛、内田結花、川瀬亜衣、きたまり、北村成美、下村唯、田中幸恵、寺田みさこ、中間アヤカ、福岡まな実、藤原美加
- 衣装:山本容子
- 主催・企画制作:NPO法人DANCE BOX
- 助成:平成26年度文化庁 劇場音楽堂活性化事業、平成26年度神戸市まちの再生・活性化に寄与する文化芸術創造支援助成
- 協力:貞松・浜田バレエ団、首くくり栲象、崟利子、黒沢美香&ダンサーズ、Dance in Deed!
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〈「ジャズズ・ダンス」実演・出演者〉
『ジャズズ・ダンス』
構成・演出・振付:黒沢美香
音楽:太田恵資(バイオリニスト、作編曲家)
実演: 石原菜々子、石山樹野、伊藤彩、いはらみく、五十嵐香里、斉藤綾子、美輝明希、Lisa Koiso
『ジャズズ・ダンス』経験ダンサー:内田結花、藤原美加、文、北村成美、中間アヤカ 他
★日程によって出演者が変わる場合があります。
ARTIST PROFILE
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黒沢美香
1957年横浜生まれ。5歳から舞踊家の両親(黒沢輝夫、下田栄子)のもとでモダンダンスを習う。82〜85年NYに滞在。当時のNYダウンタウン・ダンスシーンをリードする振付家の作品を踊り、国内外の公演に参加する一方、ジャドソン・グループの出来事に出会い、その痕跡を追いかける。帰国後は、黒沢美香&ダンサーズと名乗り、異なるジャンルのアーティスト等と共同作業を行い、ダンスを捉え直す試みの作品創作・上演を継続(87〜94年「船を眺める・・・」47回、90〜02年「偶然の果実」44回など)。ソロダンス「薔薇の人」シリーズ(99〜15年)、黒沢美香&ダンサーズ、踊る大学教授陣ユニット:ミカヅキ会議を柱に活動する傍ら、社会・地域連携プログラムに参加、風間るり子、小石川道子の別名でも踊る。舞踊コンクールで1位を5度受賞の他、新人賞、優秀賞、舞踊批評家協会賞、日本ダンスフォーラム賞、ニムラ舞踊賞などを受賞。日本のコンテンポラリーダンス界のゴッドマザーとも称される。2016年12月1日没(享年59歳)
http://mikakurosawa.official.jp