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【国内ダンス留学@神戸6期】萌々夏×マリア×春香×晴菜 インタビュー | BLOG | NPO DANCE BOX

2018.3.20

【国内ダンス留学@神戸6期】萌々夏×マリア×春香×晴菜 インタビュー

INTERVIEW

3月中旬、成果上演クリエーションまっただ中。『成果上演』にはダンサーとして出演していた大谷萌々夏、松縄春香、植野晴菜、マリア・デ・ロス・アンヘレス・パイスに振付家4人と同じテーマで話を聞きました。

現在、春香、晴菜、マリア24日に開催する『Dancing In The Borderline』に向けて作品を製作しています。表現者としてこれからどういう未来を描いているのか、”振付家”としても様々な話も聞けました。是非ご覧ください。

 

 

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  この 8ヶ月間で最も印象的だったことは何ですか?

(大谷)萌々夏 −

今まで5回SHOWCASEをやりましたが、最後の#5の伊藤千枝さんの時に今までとは違ってガラッと変わった感じが自分の中でありました。変わったというのは、割と今まで(#4まで)はコンセプトがあって、「こういう風な動きをしてほしい」みたいなことを振付家の方から結構言われていて、それをできるようになることに力を注いできていたのですが、千枝さんの時は、コンセプトの部分やどう踊るのかというところから自分たちに任されていました。どのリフトをするのか、あるいは全くしないのかとかその辺のことまで委ねられて…。原作があったから余計にだとは思うんですけど、コンセプトを叶えるためだったら、元々存在するものを頑張ってしなくてもいいっていうか。成果上演のクリエーションでは振付家と同じ目線で取り組めて、特にマイアの作品ではもっと違う方法でコンセプトが達成できるんじゃないかという目線になれました。振付家からダンサーへ表現方法や演出の要求があったとき、「作品の中で何を果たしたくてそう要求しているのか知りたい」と細かく言ったら話し合いが行われて。自分でも、一つの表現方法にとらわれなくていいっていう考えを 持てたからこそ、マイアが動きを通して何を叶えたいのか分かった後は、他の提案やいろんなリスクとの兼ね合いも含めて考えられるようになりました。

(植野)晴菜 −

私は特に平原慎太郎さんの持っていき方がすごい分かりやすかったです。コンセプトを何回も話してくださって共有してもらったので、頭の中を割とオープンに見せてもらったっていう感じがありました。また公演後のフィードバックの時、自分のスタイルにダンサーを併せていくんじゃなくって、その人を見てその人の個性を最大限に引き出すって仰ってて。そこがこの世界の魅力だなって思います。

マリア −

山下残さんのクリエーション、特に振付やテクニック面が印象的でした。彼の作品はコンセプチュアルで、これまでとは異なる視点からダンスにアプローチしていました。コンセプトがあって、そこから動きが生まれてくる。正確な動きが今なされているかどうか、そこにフォーカスする振付家が多い中、残さんは初めに作品全体のコンセプトを持ち、そして各々のシーンにおけるコンセプト、またグループの構成をつくる際には言葉も使いました。なのでリハーサルの初めの方は全然違っているなと興味深かったです。私にとって現代美術への近しさを感じたことがとても良かったです。残さんの作品の切り開き方、素材の生み出し方は、ダンサーではない人と一緒に取り組む時に使えると思います。この方法であれば、ダンサーであろうとなかろうと、身体にそこまで注意を払わなくても誰でも自分自身を表現できるのではないでしょうか。

(松縄)春香 −

ダンサーとして舞台に立つ上では(平原)慎太郎さんの作品が勉強になりました。ダンサーではなくて振付家を目指している人が集まっているっていうのを理解した上で、どういう風に作品を作っていけばいいのかっていうのを私たちにくれたのが印象的でした。作品作りに関してはまだ自分の中で消化できてないんですけど、ダンサーとして立つ上でどういう風に作品の中に居たらいいのかをすごく考えるようになって、振付家が求めていることをどう体現したらいいのか、振付家が求めるものよりも超えるものを自分から出すにはどうしたらいいかなって考えています。

 

 

 なぜ自分を表現する時にダンスを使うのか?

(大谷)萌々夏 −

教師時代に子ども達接している中で感じたんですが、もっと視野を広げたり、自分自身を知ったりする必要があるなと思って。その時に人間的にもっと挑戦したり、自分の嫌なところとかと向き合ったりする一つの手段としてコンテンポラリーの世界に行こうと思ったのが動機です。私にとって苦しいというのが、自分の身体を使うということ。運動っていう意味ではなくて、自分の全て、例えば髪の毛の先まで神経を持っていくこともあるという意味で、逃げられないなと思っています。実際のところ、コンテンポラリーを踊っている時に楽しいという気持ちになったことがあんまりなくて。というのも、すごく自分と向き合うじゃないですか。自分の得意なことも苦手なことも、それこそ自分の癖とかも全部そこに見えてしまう。今までの他の挑戦は期限付きだったり、ある程度自分で加減ができていた。でも今は、ダンスという身体そのものを使って極限に挑戦するイメージ。「逃げたい」って思うからこそ踊るんだと思います。

(植野)晴菜 −

「踊ること」は自分の人生に大きく関わっています。もともと踊りが大好きだった大切な人が、私の踊りを見た1週間後に亡くなって。精神疾患だったんですが、その時は踊りが美しいと思えないと苦しんでいました。私は彼女の前で踊ったことが彼女自身を死に追いやるきかけになったと思っています。それから、自分は踊りというものが人の精神や死とどう関わっているのかを知りたいと思うようになって、その答えを見つけるまでは自分は踊っておこうと今も思っています。本当にそれが理由で亡くなったわけではないかもしれないですけど、どうしても自分はそれと切り離せなくて。でも昨年のAsia Contemporary Dance Festivalで首くくり栲象さんのパフォーマンスを見た時に、自分はちゃんと生きたいなって思いました。人の生死にどうやったら自分の生きている体で関わっていけるのかなって、新しい興味が出てきて。もし自分自身の疑問の答えが見つかったとしても、自分は踊り続けていると思います。

(松縄)春香 −

結論から言うと、私は表現方法をダンスにこだわってないです。表現手段の一つとしてダンスを選んでいます。理由は、人間の身体はわからない領域があるから。そこに面白さも感じています。表現方法を身体にすることで、何かしらはみ出るものがある。それがどうしてはみ出るのかはわからないけど、体が持っている未知の領域が出ちゃうんでしょうね。その領域は生き物の身体を使ってでしか表現することができないと私は思っています。

マリア −

まず、ダンスで私自身を表現できるとは思っていません。ダンスは自分を表現するチャンネルになりうるというだけで、踊っている時に私自身のことであると思っていない時もあります。時々これは誰なんだろうと自身に問うことがあります。さらに言えることは、ダンスを通して私自身をもっと知ることができること。どのように私が感じていて、私の内側はどうなっていて、何が起こっているのか、時々分からなくなることがあります。でもダンスを通してこのことに出会ったりもします。その時のムーブメントの中で気づくよりも、後になって振り返る中で私自身の内部でなにが起こっていたのか見えたりすることもあります。ダンスは自身を表現するツールでなく、物事を運ぶ為のチャンネル。もっと年齢を重ねるなかで、ダンスに限らず、ビデオ作品、写真やコラージュを作ったりと、もっとチャンネルを見つけてやってみたいですね。物事を現実に繋げるための新しい方法を探ることにオープンであること!ですね。

もう一つ、なぜ私は踊るのか。これは春香が言ったことに近いです。私達自身が身体のことについて知っていることはとても少ないけど、私たちにとって最も近しいものであることには変わりありません。私達はあらゆることにおける普遍性と、物質的な構造、メカニクスに知っているけど、自身の身体については知らないことが多い。身体の内側に見知らぬ人がいるみたいな感じ。このことについてとても関心をもっています。

 

  5年後、自分は何をしていたい?

(植野)晴菜 −

踊っておきたい。ジャンルは何でも良いです。答えを求めているのか、明らかになっているのか、分かりませんが今みたいに踊り続けていたいです。

(大谷)萌々夏 −

何個か目標を持っているのですが、5年後、何個目の目標になっていようが、そこに向かっておきたいというのは明確にあります。具体的なことを挙げれば、教育者という立場で、子どもたちが挑戦したり発見したりできるような環境を作ってあげられるくらい、自分が視野に余裕を持った人間になっておきたい。そして、ダンスの教育における可能性をもっと研究して、教育の現場に使えるような具体案を作っていきたいというのがあります。

マリア −

ダンスを通していろんな所へ旅を続けていたい。今回の「国内ダンス留学@神戸」のように色んな所へ滞在していきたい。劇場、自然、旅、劇場、自然、旅・・家族、家族、家族、劇場、旅、自然・・・私はこの繰り返しでOK。終着点はまだよく分かりません。だって世界はとても広いから。あ、でも滋賀の古民家(滋賀県大津市にある古民家「ながらの座・座」)のようなスペースも持ちたいです。人々がクリエイティブなことを実践し、インスパイアされるような家。人生は私をもっと別の美しい場所へと導いてくれるかもしれないから、自分の国でやるかどうかは分からないですが…。でも多分私はその場所をオープンしても旅を続けて、その間他の誰かがそこの面倒をみてくれるシステムがいいかな。実はもう土地は持っているんです。でもその場所をつくっていく為の資金は…まだないかな!

 

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マリア、春香、晴菜による作品発表『 Dancing In The Borderline 』

2018年3月24日(土)18:00開演

料金:無料

その他詳細はFacebookのイベントページにて!! 

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