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【対談インタビュー】3/9-10 垣尾優『愛のゆくえ』|垣尾優×塚原悠也 | BLOG | NPO DANCE BOX

2019.2.26

【対談インタビュー】3/9-10 垣尾優『愛のゆくえ』|垣尾優×塚原悠也

INTERVIEW

  • ダンスボックス・ソロダンス・シリーズvol.3は、国内外のさまざまな振付家や演出家に愛され、独特のダンス観と身体を魅せる<垣尾優>による新作上演です。14年ぶりの垣尾優による待望過ぎる単独公演です。
  • 今回の公演に向けて対談を行いました。お相手はcontact Gonzoの塚原悠也。垣尾優はcontact Gonzoの設立メンバーでもあります。寡黙さ故に謎を醸し出している垣尾優の『愛のゆくえ』に迫りました。(聞き手:横堀ふみ)
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  • ・・・・・・・・・・・・

  • 塚原 フライヤーのドローイングも垣尾さんですよね。
  • 垣尾 そう、どう思う?どうしたらええと思う?
  • 塚原 (笑) タイトルは『愛のゆくえ』でもう決まっているじゃないですか!?
  • 垣尾 どう?タイトル?
  • 塚原 垣尾さんらしさがありつつ、ちょっと一歩突っ込んだ感じがあるという気はしました。ストレートな感じ!?
  • 垣尾 そうそうストレート!ストレートに行こうと思って。一人やし。
  • 塚原 一人やし。(笑) 上演時間はどれぐらいになりそうですか? 一時間くらい?
  • 垣尾 うん、できたら、一時間弱!?
  • 塚原 50分?
  • 垣尾 50分とか。横堀さんからは一公演になるくらいの時間、と。
  • 塚原 僕、そのシステムを今から10年くらいかけて解体させたいんやけど。12分でも満足出来たらいいのではと。
  • 垣尾 もちろんそうやと思うよ。一瞬でええわけやけどね。
  • 塚原 そうなんですよ! 一瞬で全員の腰抜かしてまえば「4千円払って全然よかったわー」みたいな、ね。
  • 垣尾 別にエクスキューズをしてるわけやないけど。
  • 塚原 そうそう、音楽とかだと、1曲1分みたいな世界あるじゃないですか。そういう事があってもいいなとは思うけど、まだ、まだっすね。
  • 垣尾 ま、いろんなやり方はできそうやけどね。
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  • 横堀 最近、劇場でよく稽古されています。でも、誰も覗けない感じがあります。
  • 垣尾 なんで?
  • 塚原 圧で弾いているんですね。絶対入んなよ!みたいな。
  • 垣尾 ないない。
  • 横堀 「入らんとってね」という空気が出てますから!垣尾さん。
  • 塚原 でもモニターで見てるでしょ?
  • 横堀 いやいや、あんまり見ていません。でも、この前ちらっと見たら、舞台上ウロウロウロウロ歩いてましたね。
  • 垣尾 そうそうそう。
  • 横堀 今、稽古で何してはるんですか?
  • 垣尾 今何してるかなぁ・・まぁ想いを巡らせてるんやけど・・・。でも、今はずっと動き続けるっていうのが大事だから、とにかく30分ずっと踊るというか動いていたり。
  • あと周りにあるものをよく見ている。なんか使えへんかなって。何かあるもので巻き込んだり出来るといいなぁと。劇場のなかの扉開けて、灯りをつけたりして・・。
  • 塚原 一番楽しい時間ですね。
  • 垣尾 楽しい。楽しいのは楽しい。
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  • 垣尾 塚原くん、最近どう?
  • 塚原 最近は・・・、いろいろ、やってますね。ゴンゾで言うたら最近何してたんかな。
  • こないだ東京でやんツー(yang02)※1君っていうメディアアートみたいなことやってる人と一緒にセッションしました。
  • 垣尾 ほぅ。
  • 塚原 やんツー(yang02)君は、テクノロジーでゴリゴリというわけではなくて、セグウェイにカメラをのっけて、それが自分で勝手に走るんですよ、現場を。で、カメラに写っていることを、人工知能が発話すのですよ。それとセッションするパフォーマンスしました。お客さんをずーっとゆっくり映しながら「たくさんの人が集まっています」とか言う。
  • 垣尾 正確に話すの?
  • 塚原 だいぶ外しますね。僕らのこと見ながら「スノーボーダーがジャンプをしています」とか言うんですよ。それが面白くて。
  • 垣尾 面白いな。そういう、エラーみたいなこと。
  • 塚原 そうです、そうです、そうです! めっちゃ頑張っている感じが出てくるんですよね。間違いながらも、考えて、移動して・・みたいな。でも5年ぐらいでもっと精度上がるでしょう。
  • 垣尾 完璧に言うんじゃない?
  • 塚原 完璧に言うと思う。
  • 垣尾 大阪市在住の塚原悠也、三ヶ尻敬悟に頬っぺたのナントカの骨をやられましたとか!
  • 塚原 そうそうそう!しかもそのカメラが4Kになってきたら、僕らが見えてないものも見えることになる。面白さで人間はもうすぐ負けるなぁと思いながらセッションしてました。
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  • 塚原 垣尾さん、自分で作るっていうのは結構久しぶり?
  • 垣尾 そう、久しぶりで。最初は、動機から考えてた。
  • 塚原 なんで作るのかなって?
  • 垣尾 なんで作るのかな、なんで踊んのかな、みたいなことを最初はずっと考えてた。昔は結構はっきりしていたんだけど。その好きな感じっていうのが。
  • 塚原 『ガムをすすめる』※2の頃?
  • 垣尾 そうそう『ガムをすすめる』の頃。
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  •  KOBE – Asia Contemporary Dance Festival #3
  •  松本雄吉×ジュン・グェン=ハツシバ×垣尾優『Sea Water』より(2014)
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  • 塚原 『ガムをすすめる』から今までの間に、砂連尾理さん※3や、ヒスロム※4、アンサンブル・ゾネ※5との作品もあったし、、、あと、僕がディレクションさせてもらった「KOBE-Asia Contemporary Dance Festival #3」で、松本雄吉さん※6とジュン・グエン=ハツシバさん※7と作品※8をつくったりしていますね。
  • 横堀 維新派※9やdots※10も出演されていますね。
  • 塚原 ですね。コラボが主でしたよね。タイトルのつく作品は見なかったような・・。
  • 垣尾 そうやね。『ガムをすすめる』ぶりかな。
  • 塚原 なんで作らんかったのですか?
  • 垣尾 なんでやろ?
  • 塚原 待っていた人はめっちゃ多かったと思うけど。相当長く・・10年くらい待ったんちゃうかなと思いますよ。
  • 垣尾 待ってない、忘れてる。(一同笑)
  • 塚原 何年の公演だったっけ?
  • ———— 結局、三者とも年代を正確に思い出せなかった ———
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  • 横堀 『ガムをすすめる』は面白かった。覚えています。垣尾さんの同級生が三人出演しましたよね?
  • 垣尾 それが、一人ドタキャンして・・!
  • 塚原 どれくらい前のドタキャンやったんですか?
  • 垣尾 前日とか前々日とかちゃう? 今ちょっと仕事が忙しいんでみたいな。めちゃめちゃ面白いんよね、その子が。中国の輸入関係の仕事してたんかな。
  • 塚原 その人が面白すぎたんですね。
  • 垣尾 まぁなぁ。でもやっぱり、俺らからしたら舞台のドタキャンって結構なことやん。
  • 塚原 まあ前日にドタキャンはありえへんですね。
  • 垣尾 俺もしたことあるけど。
  • 塚原 あんねや!
  • 横堀 あるんですか?!(一同笑)
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  • 垣尾 同級生のもう一人は里山学者で。昆虫が昔から大好きでね。舞台でいろんな昆虫の鳴き声を流して、目隠ししてそれを当てるみたいなこともした。
  • 塚原 ありましたね。
  • 横堀 福岡まな実※11が確か真っ赤なワンピース着てましたね。めっちゃ可愛かったなぁ。あと、楽屋のドア開けると藤村司朗さん※12がそこに立ってるっていう。
  • 垣尾 一瞬だけ。
  • 塚原 ほんまに一瞬でしたね。『ガムをすすめる』は今思うと海外に持っていけた作品やと思う。勿体無かったなあ。海外ツアーに行く時も3秒のために司朗さんにちゃんと来てもらって。
  • 横堀 そやね。いろんな面で先駆け的な作品だったなぁ。
  • 垣尾 いやいや、知り合いとか、ドキュメンタリー的なことありきの作品だから。でも、自分でも思い出深い。
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  • 塚原 最近いろんな舞台作品、演劇にしてもダンスにしても、企画段階で社会的な説明のつくものが多いというか、社会的な意義があらかじめ担保されている企画がめちゃくちゃ多い。見飽き初めてる節も僕にはあって。『ガムをすすめる』みたいな、ちょっとやってみな分からない感じというか、何らかの感性とパッションでぐにゃっと繋がっているみたいな、見終わっても感想書きにくい作品っていうのがもっと増えなあかんとは思っていて。バランス的に。垣尾さんどう思います?あんまり説明しないでしょ?
  • 垣尾 自分はできへんのやと思う。なんとなくそういう風には思っているけど。塚原くんはできるからね。だから、塚原くんと一緒になんかやったりするのって、ある意味、楽みたいなのもあるしね。
  • 塚原 そうっすね。僕もある意味楽ですけどね。別の意味で。
  • 垣尾 託せる部分があるからね。
  • 塚原 うん。
  • 垣尾 さっきのエラーみたいなのが面白いっていうのがあるけど、そういうところに興味があるから。
  • 『ガムをすすめる』( 2005)
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  • 塚原 今回のような企画だったら、どういうところから始めるんですか?ずっとウロウロしてる? 作り込んで行く感じ?
  • 垣尾 どっちもあるんやけど。作り込む楽しさもあるやん?でも、今回は一人やし、あんまりそっちには行かないかな。敢えてしたくないなというか。勝手に形になるようなシステムみたいなものを作ったらいいのだろうけど、それもよくあるような感じもするなぁと思ったりして。
  • 塚原 まぁね。
  • 垣尾 最近、踊りで好きなのは、ガーンと踊ってるのん。踊ってる!っていうストレートなやつ。なかなか面白くてグッとくるのは少ないけど。そういうのがまあ一番いいかなあという感じなんやけどね。
  • 塚原 楽しみにしています。
  • 横堀 垣尾さん、塚原さん、ありがとうございました!

 

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  • 塚原悠也
  • 1979年生まれ。関西学院大学文学部美学専攻修士課程修了。contact Gonzo主宰。
  • 2002年より大阪に拠点を構えたNPO法人ダンスボックスで運営スタッフとして活動。「新世界アーツパーク」で様々なイベントやライブを目撃。そこで出会ったダンサー垣尾優と2006年にcontact Gonzoを結成し、その後様々なメンバーが合流、現在は集団として活動しパフォーマンス作品だけでなく映像、写真、インスタレーションの製作など活動は多岐にわたる。個人の名義として丸亀市猪熊弦一郎現代美術館でのパフォーマンス企画「PLAY」に参加し3年連続する3部作の作品を発表。また、ダンスボックスや東京都現代美術館などのパフォーマンスプログラムのディレクターなどを務める。 2011年よりセゾン文化財団のフェロー助成対象アーティストとして採択。
  • http://contactgonzo.blogspot.com

 


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  • ※1
  • やんツー(yang02) http://yang02.com 
  • 2009年多摩美術大学大学院デザイン専攻情報デザイン研究領域修了。デジタルメディアを基盤に、行為の主体を自律型装置や外的要因に委ねることで人間の身体性を焙り出し、表現の主体性の問う作品を多く制作する。
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  • ※2
  • 『ガムをすすめる』
  • 2005年2月24日 DANCE BOX vol.121 【DANCE BOX主催公演】
  • 作:垣尾優  出演:福岡まな実、桐村光泰、谷垣岳人、福永学、垣尾優、ほか
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  • ※3
  • 砂連尾理 https://www.osamujareo.com
  • 近年はソロ活動を展開し、舞台作品だけでなく障がいを持つ人や老人との作品制作やワークショップを手がける他、音楽家、臨床哲学者、インタラクティブメディア・アーティスト、情報・ロボット工学者と様々なプロジェクトを行う等、ジャンルの越境、文脈を横断する活動を行っている。立教大学 現代心理学部・映像身体学科 特任教授。
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  • ※4
  • ヒスロム http://hyslom.com
  • 2009年からhyslom/ヒスロム(加藤至・星野文紀・吉田祐)は山から都市に移り変わる場所を定期的に探険している。この場所の変化を自分たちが身体で実感する事を一番重点に置き、その時々の遊びや物語りの撮影を行う。
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  • ※5
  • アンサンブル・ゾネ http://ensemblesonne.com
  • 1993年設立。神戸を拠点に活動するダンスカンパニー。中心ダンサー、スタッフをほぼ固定メンバーとし、カンパニー運営を行っている。ヨーロッパのコンテンポラリーダンスのメソッドに基づく日常訓練を行いながら、国内外から様々なゲストアーティストを迎え、緻密で多彩な作品づくりを継続している。
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  • ※6
  • 松本雄吉 http://ishinha.com
  • 熊本県天草生まれ。大阪教育大学で美術を専攻。 1970年維新派を結成。 1991年、東京・汐留コンテナヤードでの巨大野外公演「少年街」より、 独自のスタイル「ヂャンヂャン☆オペラ」を確立。 野外にこだわり、観客とともに旅をする「漂流」シリーズを企画。 奈良・室生、岡山の離島・犬島などで公演を行う。 代表作に、離島の銅精錬所跡地内に劇場を建てた「カンカラ」、 びわ湖上に作った<びわ湖水上舞台>が大きな話題となった「呼吸機械」、野球グラウンドで上演した「トワイライト」など。 2000年に初の海外公演をオーストラリア・アデレードフェスティバルで上演する。 これ以降も、ヨーロッパや南米でのツアーに加え、 ニュージーランドやシンガポールなど海外からの招聘も多数。維新派以外でも、現代演劇作品の演出を多く手がけた。2016年逝去。
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  • ※7
  • ジュン・グエン=ハツシバ http://mizuma-art.co.jp/artists/jun-nguyen-hatsushiba/
  • 現代美術家。1968年東京にて日本人の母とベトナム人の父の間に生まれ、幼少時代を日本で過ごし、アメリカで教育を受ける。現在、ホーチミン市在住。2001年より難民や社会的少数派をテーマに取り上げた "メモリアルプロジェクト" シリーズを発表し、国際的に注目を浴びる。ビエンナーレ・トリエンナーレ国際展に多数参加。
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  • ※8
  • 松本雄吉×ジュン・グエン=ハツシバ×垣尾優『Sea Water』 
  • 2014年 KOBE- Asia Contemporary Dance Festival #3(プログラム・ディレクター:塚原悠也)@ArtTheater dB神戸で制作し世界初演を迎えた作品。その後、2014年「東京アートミーティング(第5回)新たな系譜学をもとめて-跳躍/痕跡/身体」展@東京都現代美術館にて上演した。
  • https://archives.db-dancebox.org/archive/07_arc/03_sp/14_kacdf03/
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  • ※9 
  • 維新派 http://ishinha.com
  • 1970年に大阪で活動を開始。松本雄吉主宰。活動拠点である大阪のジャンジャン町に由来する「ヂャンヂャン☆オペラ」と名づけられた維新派の表現スタイルは、1991年東京・汐留の「少年街」より確立した。創設以来、さまざまな場所で公演を行いながら、「移民」や「漂流」をキーワードに、一貫してオリジナル作品を上演している。2017年 10月〜11月、台湾・高雄の野外劇場での『アマハラ』の上演をもって維新派の活動は終了した。
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  • ※10
  • dots
  • 京都を活動拠点に作品制作を行っているパフォーミング・アート・ユニット。
  • 2001年、桑折現を中心に京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科一期生が集まり結成され、「空間」「映像」「身体」をキーワードに活動開始。2005年より桑折現を中心にプロジェクト単位でメンバーを構成し、作品制作・発表を行っている。
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  • ※11
  • 福岡まな実
  • 2000年より舞踏カンパニー<千日前青空ダンス倶楽部>所属、2009年までの全作品に出演。
  • 同時にソロ活動も行い国内及び韓国等にて作品を発表。近年、黒沢美香&ダンサーズ、アンサンブル・ゾネ、垣尾優、筒井潤等の作品に参加している。
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  • ※12
  • 藤村司朗
  • 冬樹ダンスビジョンでダンサーとして活動。1996年、DANCE BOX設立メンバー、初代舞台監督。その後、垣尾優とエンターテインメント・ダンス集団として呆然リセットを結成。

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