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Newcomer/Showcase#2 井手茂太×国内ダンス留学@神戸7期生『食卓』インタビュー | BLOG | NPO DANCE BOX

2021.11.19

Newcomer/Showcase#2 井手茂太×国内ダンス留学@神戸7期生『食卓』インタビュー

INTERVIEW

劇場を拠点とした8ヶ月のプロのダンサー・振付家育成プログラム「国内ダンス留学@神戸7期」。思考・身体ともにトレーニングを重ねた彼らは、3回にわたり振付家と協働し、公演「Newcomer/Showcase#1-3」に挑みます。

2回目の舞台となるNewcomer/Showcase#2の振付家は、ダンスカンパニーのイデビアン・クルーの主宰であり、舞台やミュージックビデオなどの振付も手掛ける井手茂太氏です。タイトルは『食卓』。

井手氏の作品では、誰もが見覚えのある日常の動作から振付が生まれます。ユーモアと哀愁の漂う演出と、ダンサーの個性を活かした振付が生み出す緻密な世界観は、国内外からひっぱりだことなっています。『食卓』の上演に先立って、井手氏にお話を伺いました。

 


 

 

踊りや動きを通して、

食卓を囲む人たちのキャラクターが浮かび上がる

 ―今回、「食卓」というタイトルになったのは、どのような経緯があったのでしょうか。

 前々回、DANCE BOXに来たときに、『花道ジャンクション』(2015)という作品を作りました。新長田に住むダンサーではない人たちと、現役のダンサーが集まってステージをつくるという私にとってほぼ初めての試みをしたんです。それが面白かった思い出があって。「集まる」って面白いよね、というところからスタートしました。

 


 『花道ジャンクション』(2015) photo by Junpei Iwamoto

 

でも、今回は6人という少人数での編成です。少人数での舞台って、全員に目が止まるからごまかしが効かないんです。そして稽古の時間も限られている。始まる前から怖くて、「自分も入れて7人で助け合って行こうね」っていう気持ちになるくらい。

 今まではそんなときに「まずはご飯でも一緒に行こうか」、とお誘いできたのが今はコロナで誘えなくなってしまっている。そうしたときに、「でも、フリでもいいからまずは囲もう」と考えたときに、囲むためのアイテムとして食卓が思い浮かびました。食べなくても、マスクをしていても、囲んで、話し合えばそこからいろんなものが生まれると。

 今回、メンバーの中で男性が一人なんですよね。私の家族も男は私一人で、女だらけだったんです。7期生を見てると、家で男ひとりで気を遣ったり遣わなかったりしたことを思い出して。せっかくだから、このメンバーで「家族っぽい」ことをしてみたくなったんです。「踊り」や「動き」を通して、食卓を囲む人たちのキャラクターが見えるような。囲んで何かを共有することに色のついた作品です。

 

―コピーの「そろったり そろわなかったり それでもつながる」に込められた意図を教えてください。

 これも、私の家がそうだったんです。実家が商売を営んでて、ひっきりなしにお客さんが来ていました。だから、食卓で家族が揃うこともなくて。先に子どもたちだけで食べさせて、私がテレビを見ているとやっとお母さんが食べに来て、と思ったらおばが来て食べてと、もう入れ替わりで。でも、父の葬式の時に初めて家族全員が揃った、みたいな。

 それでもつながるっていうのも、全員がその場に揃わなくても、食べ残しをみて、「あいつ残しやがって」とか、いつも片付けない人の「またあいつだ」っていう、そこにいた痕跡がある。そういうったことで結局繋がってるっていう。

 

 


 

少人数で作品をつくること

 ―先ほど少人数の振付や演出はごまかせないとお話がありましたが、詳しく聞かせてください。

 少人数での作品では、一人ひとりのキャラクターを本当にいっぱい引き出してあげないと、意味がないんですよ。ものすごく細かいことを一人ひとりがしないといけないから、大人数での作品より時間がかかることもあります。一人テンションが違うと全部が崩れますし。なので、その分いつものクリエーションよりも神経を統一させないと、彼らにも失礼だなと思いながら稽古に臨んでいます。

 

 


 

観客も共演者。お互い分かり合える瞬間を身体で表現する

 ―井手さんが人の日常の動きや癖に着目するようになったのはいつ頃なんでしょうか。

 私自身が昔から変な人って言われてて、面白いことをしているつもりはないのに、何をするにしても笑われていたんです。自分がつくっていたのが変なダンスって最初は言われてるんですね。それが嫌だった。でも、逆手にとって自分のセンスの一部にすれば良いと思ったんです。

 お客さんのことは観客ではなくて、同じ空間を共有する共演者だと思っています。振付は、観ている人との共通言語を探しているような感覚です。ダンサーの動きを見て、「そういうことってあるよね」と、お互い分かり合える瞬間を身体を使って表現しているんだと思います。

 

 

聞き手・編集:髙木晴香 

 

 アーティストプロフィール

井手茂太

既存のダンススタイルにとらわれない自由な発想で、日常の身振りや踊り手の個 性を活かしたオリジナリティ溢れる振付手法で注目される。ダンスカンパニー「イデビアン・クルー」での作品発表に加え、演劇作品へのステージングや振付、CM・ミュージックビデオの振付 や出演など幅広いジャンルで活動する。近年の振付では、『フリムンシスターズ』 (演出:松尾スズキ)、NODA・MAP『フェイクスピア』(演出:野田秀樹)など。www.idevian.com

 

 

 Newcomer/Showcase#2 井手茂太×国内ダンス留学@神戸7期生『食卓』

『食卓』

そろったり
そろわなかったり
それでもつながる

NEWCOMER /SHOWCASE#2では、ダンス・演劇・ミュージカルなど数々の舞台作品やCM、ミュージックビデオの振付も手がける井手茂太氏の振付作品に挑みます。井手氏の巧みで独特な振付や演出が生み出すビビッドな世界観に、観客はたちまち巻き込まれ魅了されること間違いなし。6名の個性光るダンサーと、井手氏が立ち上げるめくるめくダンスの時間をご体感ください。

「国内ダンス留学@神戸」は、全国からプロのダンサー・振付家を志望する者を対象とした8ヶ月の育成プログラム。世界が苦境に陥る中、ダンスに貪欲な6名が神戸・新長田に集まり、7月末から劇場で鍛錬を積み重ねています。本公演は、「国内ダンス留学@神戸」7期のプログラムの一環で、7期生は振付家と協働し、ダンス公演を行います。次世代を担うダンサーを、神戸・新長田から発信します。

 

公演情報

演出・振付:井手茂太
出演:秋田乃梨子、石山樹野、川崎萌々子
楠田東輝、久保亜樹子、小松菜々子

日程

 2021年
①11月27日(土)19:30開演
②11月28日(日)14:00開演
※28日の終演後、出演者によるアフタートークあり。

会場

ArtTheater dB KOBE
(〒653-0041 神戸市長田区久保町6丁目1-1 アスタくにづか4番館4階)

チケット:

前売:2,500円
割引(長田区民・U25・障がい者・介護者・高齢者(65歳以上)):2,000円
5歳〜小学生:500円 中高生:1,000円 
※当日券は各200円増し

 

 チケットの購入はこちら

https://db-ticket.square.site/

※新型コロナウィルス感染防止のため、本公演のチケットはオンラインでのご購入をお願いいたします。
※本公演のオンラインチケットはチケットの発券はありません。当日、受付にてお名前をお伝えください。

 

公演に関するお問い合わせ 

NPO法人 DANCE BOX
TEL 078-646-7044 / FAX 078-646-7045
MAIL  info@archives.db-dancebox.org

 

国内ダンス留学@神戸7期特設サイト

特設サイトにて7期生のインタビュー公開中!
https://danceryugaku.wixsite.com/main7

 

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